2025-05-29 ​30年目の号泣

​ 昨秋のアルテミスSについての平日分の原稿で、
江戸川さんは
オークス馬カムニャックについてこう書いていた。

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キャリアが一戦しか無いので、
力を測るには
やや判断材料に欠けるものの、
カムニャックも気になる存在。
下ろした距離を考えると
マイルは短い可能性はあるけれど
そもそも2000mで勝っているのは
ポテンシャルのある証拠。
母系を辿ると
ダンシングキイ
～ダンスパートナーになるので、
金子真人ホールディングス
らしくない気もするが、
セレクトセールで落札した馬なら
それなりに評価すべきだろう。
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そう思いながら
アルテミスSでは
カムニャックを本命視したが、
6着に惨敗。

それでも勝ち馬と0.2秒差だったし、
「能力はあるな」
という感触を江戸川さんは得ていた。

続く休養明けのエルフィンSでも
ポテンシャルは一番との想いから
再び本命視したが、
追い込んで4着に敗退。

懸念していた通り「マイルは短い」
と確信も出来た上に、
まだまだ本格化は先かも…
と思った部分もあったので、
フローラSは▲に留めた。

が、7番人気の評価を覆して勝利。

「距離が延びたオークスは面白そうだ」
と確信するに至った。

実際オークスのレース考察では、

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カムニャックが菊花賞に出走しても
馬券を買いたい人が一定数いるレベルの血統の持ち主だ。
桜花賞を使わずに中3週での出走は悪くないローテ。
一発あってもおかしくない。
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と書いた。

それでも▲までに留まったのは、
やはり桜花賞出走組を
評価した面があるからで
クラシックは王道から来る
馬の方が強い…というジャッジだ。

そういう意図で
本命はリンクスティップに打ったが
最後の直線で
リンクスティップを抜き去り、
アルマヴェローチェを最後交わした時は涙が出た。

「ダンスパートナーの血だ…」

カムニャックの曾祖母
ダンスパートナーは1995年のオークス馬。

競馬を知ったばかりの
小学生だった時に見た
オークスの微かな記憶が蘇ってきた。

ダンスパートナーも
30年前大外一気を決めて
勝利を掴み、初のG1制覇。

半兄エアダブリン
全弟ダンスインザダーク
という名前が出てくれば、
かなり年季の入った
競馬ファンだと思うが、
ダンシングキイの系統は
一時代を築いたと言っても過言ではないと思う。

しかし
ダンシングキイ直仔の重賞勝ちは
04年桜花賞、
06年のヴィクトリアマイル勝ちの
ダンスインザムードが最後。

ダンスパートナーの系統から
フェデラリストや、
ヨカグラが出たものの
牝馬の目ぼしい活躍は無かった。

ダンスインザムードの長女
ダンスファンタジアとの
母仔重賞制覇が
ダンシングキイ系
牝馬最後の輝きになるかもしれないと
以前から懸念していただけに
今回の勝利はまさに会心の一撃。

江戸川さんが競馬を見始めた頃に
隆盛を極めていた血統が、
ここに来て再び花が開くとは…。

思っていた以上のカムニャック走りに
馬券が外れていることも忘れて泣いていた。

まさに競馬の醍醐味。

「ダービー馬からダービー馬が生まれる」
ことはもはや当たり前の
情勢になってきたけど、
年に1頭しか生まれない牝馬から
G1ホースが母仔で生まれるのは稀。
(最近はそういう例も増えてきたが…)

しかし30年の時を経て、
代を重ねてオークス馬からオークス馬が出た。

素直に感動した。

30年以上前に導入された
ダンシングキイ系牝馬のオークス制覇。

名門・社台ファームの意地を見た
レースでもあったかもしれない。

平凡サラリーマンから、独自の「逆走競馬予想」で競馬評論家に転身した江戸川乱舞。
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