人気馬を信ずるべからず!
福島名物ハンデキャップ重賞:七夕賞
1番人気不振の重賞の代表格と言えば、
今週末に施行される「七夕賞」だろう。
過去には「25年以上も1番人気が勝っていない」という
(珍?)記録も生まれていたり、
過去10年の馬連配当の平均額が6000円オーバーといったりと、
穴党にとっては「腕の見せどころ」といえるレースでもある。
今週は「ハンデ重賞の常連」や「善戦マン」「夏の上がり馬」
「そろそろ大舞台へ行きたい馬」など、個性派が揃っているレースとなりそうだ。
まずは人気を集めるであろう馬を何頭か分析していきたい。
おそらくトーセンラーは人気をあつめるであろう1頭だ。
乗り役は先週900勝を上げた岩田康誠騎手。
日本のトップジョッキーの1人である事は間違いない。
レースや調教は勿論の事、休日まで乗馬クラブに通っている程の人物。
そして馬自身もディープインパクト産駒であり、その素質は早くから期待されていた。
菊花賞でもオルフェーヴルの3着に入った実力馬だ。
この馬がハンデ戦とはいえ今回57キロで出走する。
本命党だけでなく穴党にとってもこの馬の存在は見過ごせない。
そして参戦できるかどうか不透明だが、
同じく57キロと見込まれたダノンバラードも要注意だ。
出世競争のラジオNIKKEI杯を優勝した後は、善戦を繰り返してはいるものの、
勝ちきれない「善戦マン」の地位を確立してしまっているが、G1級の出走馬が居ない今、
背負いなれた斤量で戦えるのは「最上級の魅力」以外の何物でもない。
今思えば、偉大な父・ディープインパクトに最初の重賞制覇をプレゼントしたのは彼だった。
「今度こそ―」という万感の想いをこめて走るのがタッチミーノット。
「中央デビュー→地方へ転籍→中央へ再転籍」という流れを汲む
帝王賞勝ちのゴルトブリッツや、
重賞2勝のフェデラリストが中央へデビュー後、地方へ転籍し、
再び中央に戻ってきて再ブレイクという馬が多い。恐らく彼もそうなるはずだったが、
重賞ではなかなか結果が出ず、昨年の七夕賞2着が重賞最高着順。
昨年、悔し涙を飲んだ舞台で、初Vとなるか・・・要注目である。
ダイワファルコンは未だ重賞勝ちの実績がない事は不思議な感じがするが、
57キロなら好勝負必至だ。
いままで4大競馬場しか使われてきていないが、中山競馬場での勝ち方を見る限り、
福島適性はあるとみて問題ないだろう。
初の重賞勝利がハンデ戦と言うのはよくあることなので、
このメンバー、舞台、実績、気配を考えれば「この舞台で勝つ」と言う事は、
彼にとって無茶苦茶な注文では無いだろう。
私も「八百屋に魚を注文するつもりはない」
エクスぺディションまでだろうか、人気馬として扱われるのは。
昨年初頭から夏まで馬券圏内を外さず、
3連勝後に迎えた初の重賞となった中日新聞杯で4着につまづいた後、
今年2月で小倉大賞典では2番人気になりながらも10着と人気を裏切る形となってしまった。
今回はそれ以来の出走となるが、元々は夏に強い馬。
この時期まで待って体調を万全に整えてきているはずなので、
55キロでの出走は待ちに待った重賞制覇への簡単に負けられない舞台だ。
おそらく、このあたりまでが上位人気になる馬だろう。
しかし、個人的にはこの人気を集めるだろう馬が
全て盤石の態勢かどうかは非常に怪しい。
もう一度、思い出してほしい。
この七夕賞は過去には
「25年以上も1番人気が勝っていない」という記録を持っていたり、
過去10年の馬連配当の平均額が6000円オーバーという
数字を持っていることからもわかるように、「荒れるレースだと言う事を」思い出してほしい。
上位人気になる馬の何頭かは
たった一言で「要らない」といえる馬がいる。
それは・・・
___SILVER___
まず、レース当日から考えてみよう。
福島地方の当日の予報天気は雨。
その場合、つまり雨が不得意な馬は要らない。
「トーセンラーは消し」とみて間違いないだろう。
これほど渋った馬場を嫌がる馬も珍しいが、雨がふるなら必要ないだろう。
それに同じディープインパクト産駒のダノンバラードも決してパワータイプでは無い。
稍重での好走記録はあるが、陣営も良馬場で走らせたいはず。
軸には据えないだろう。
江戸川的に狙えるのは
エーシンジーライン、ケイアイドウソジン、
ゲシュタルト、ニシノメイゲツだろう。
斤量が何キロになるかが不安だったが57キロなら間違いなく走れるだろう。
例年、前を行く馬はしぶとく馬券圏内に残ることが多いが、
エーシンジーラインもその例に漏れる事はないだろう。
前走はなぜか交流重賞を使われて、3着。
ダート適性があるとも無いとも言えない微妙な着順ではあるが、
今回は単騎逃げが期待できそうなメンバー。
鮮やかに逃げ切った小倉大賞典の再現は大いにありそうだ。
そういう前残りの展開を考慮すれば、
ダイヤモンドSで驚きの15番人気単勝19,000円を叩き出した
ケイアイドウソジンも忘れてはいけないだろう。今回は斤量も56キロ。
他の有力馬と比べれば「ナメられた」斤量ではあるが、
大穴をあけるには環境は整っているのではないか。
鞍乗もダイヤモンドSで大穴をあけた吉田豊騎手に戻る予定。
ハンデ戦ならではの配当を演出する舞台は整っている。
それに今回影が薄いのはゲシュタルト。跳びが大きい馬なので、
小回りへの対応力が問われるが、昨年の小倉で行われた中日新聞杯で2着の実績があることからも、
小回りさえ克服できれば、状態の良さ、乗り役から判断しても地力上位は明白だ。
前走の負け方が不可解ではあるが、それゆえの不人気は、妙味。
ニシノメイゲツの前走は馬場が渋った中での1着。
完勝だった。古馬になってから、一線級との対戦は初めてではあるものの、
デビューから連勝し、老舗の西山牧場の中でも素質馬と目されていた同馬。
先週のような差しや追い込みが利く展開なら、ここは好勝負必至。
もともとは鋭い差し脚が身上のニシノメイゲツ。重賞好走馬も一気に差し切る。
予想をする上で、忘れてはいけないのは「ハンデ戦である」ということ。
ハンデ戦は騎手にとっても「1発を狙える舞台である」ことも頭に入れて欲しい。
いつも大きいレースでは「エージェントが・・・」「リーディングが・・・」
「親が有名騎手で・・・」などと、実力はそんなに変わらないのに、
いつもの決まりきった騎手たちに馬が取られていく肩身の狭い騎手たちも、
ハンデ差を活かして、勝負に出てくる。
そういう意味でも、太宰騎手の乗るエーシンジーラインには期待せざるを得ない。
七夕には短冊に願いを込める風習があるが(これは日本独特のものらしい)
「馬券的中」の願いを込めて、レースの発走を待つことにする。